ロードバイク用の本革サドルバッグを自作した話
自己紹介文にも綴っていますが私は自転車の専門学校へ通っています。そこでは自転車の授業とは別で「ゼミ」というものが存在して、私が革と初めて出会ったのはその「ゼミ」でした。
私が受けたのは「サドルバッグ制作ゼミ」です。本革を使用した手縫いのサドルバッグを作成する、というものですね。
数ある自転車の中でもランドナーやスポルティーフなどのツーリング系自転車やクロモリ系のロードバイクには革が合うと思っています。
私が乗っているのはクロモリなのでそういう面もあってこのゼミを受けようと思ったんです。
まず、
長方形の革が配られ、その革を講師の指示で型紙に沿って革包丁で革を切断。
その後端から4mmのところに線をけがき、菱目打ちで穴を開けていきます。
これが菱目打ちです。
これを革に突き立ててゴム製ハンマーで叩いて貫通させます。ここで貫通しないと針がしっかり通らずに折れてしまいます。
途中経過です。
製作段階で革に傷が入ってしまったり縫い目がずれてしまったりと失敗がありましたが概ねいい感じにすすめられました。
なんだかんだ授業を経て完成させたのがこちらです。
ロードバイクやツーリング車、MTBなどどのサドルレール、ハンドルに取り付けられ、ショルダーベルトを取り付けることによって自転車から外して街でも使えるいう優れものです。
2wayとかマルチバッグとか言えばいいのですかね。
ただ、サドルレールにつけるとバッグ本体が振られてしまい走行性は良くなかったのでハンドルにつけるのが良さそうでした。
今回作った革サドルバッグよりもいい形状のものがありそうなので、今作品を改善したのを追々作っていきたいですね。
革の話
このサドルバッグはタンニン鞣しのイタリアンレザーを使用しています。
牛革には
・植物のタンニンを使ってなめす「タンニン鞣し」
・薬品を使ってなめす「クロム鞣し」
・クロムとタンニンの両方を使う「コンビ鞣し」
この三種類の鞣し方があるそうです。
私がゼミで使用したのは「タンニン鞣し」と呼ばれる革で、"エイジング"が一番はっきりわかり、革の繊維を一番殺さない革に優しい?なめしです。
たびたび革製品に使われる「味が出る」や「色味が濃くなる」「艶が出る」と言われる言葉は、タンニン鞣しやコンビ鞣しの革に現れる
「経年変化(エイジング)」
と呼ばれる変化のことを指しています。
「タンニン鞣し」や、「コンビ鞣し」はこの「経年変化(エイジング)」で革に味が出るわけです。
詳しく言うと、
手の油や水分が革に馴染んで色合いが濃くなったり、
幾度も折り曲げを繰り返すことで革が馴染んで柔らかくなったり、
という変化が「経年変化(エイジング)」です。
ちなみに私が以前自作したスマホケース なのですが、手の油によってここまで色が変化しました。
経年変化?エイジング?どっちで言えばいいんだよ!となりましたら
それはもう好きな方を選びましょう。
私は経年変化と呼んでいます。日本語の方が親しみ深いですからね。
因みにゼミで作ったサドルバッグはこのように変化しました。
比較すると...
...この差である。
私の場合、急な雨などで濡らしてしまったこともあってあまりよろしくない色の変化をしてしまったのだが、それも味だと思えばいいでしょう。
タンニンやコンビの革は、使えば使うほど味が出て自分にピタッとあうようなものに変化していきます。
自分と同じように成長する革とともに長い時間を過ごせるのも革の丈夫さあってのものです。
クロモリと合わせて風情や趣を感じながら走るというのもなかなか乙ではないでしょうか。