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クロモリと神社と革と

某自転車専門学校卒業後、某自転車メーカー開発へ。クロモリや革、神社のこと話してます。

クロモリのパイプの種類について、カイセイ?コロンバス?

えんじです。

クロモリフレームを製作した際の副産物と言いますか、クロモリのパイプについて少しお勉強したので少しだけまとめたいと思います。

 

 

 

まずクロモリ(クロムモリブデン鋼)とは

 

 

ごく僅かのクロムモリブデンを含んだ低合金の一種のことです。

 

 

 

 

クロモリ、マンガンモリブデン鋼(通称マンモリ)、ニッケルモリブデン鋼(ニッケルモリ)についてまとめた記事はこちらです。

クロモリ、ニッケルモリ、マンモリの違いとは??クロモリフレームは何故細い???? - クロモリと神社と革と

 

ちなみに

クロム含有量が10.5%以上になるとステンレス鋼になります。

(酸素含有量に関しては曖昧なところがありますので記述は避けます。)

 

かつてステンレス鋼不銹鋼とも呼ばれ、殆ど銹(さび)が発生しません。

 

加えて常輝鋼とも呼ばれていたそうです。名前の通り、常に輝いているからでしょうか。

 

最近の電動自転車にもグレードの高いものにはステンレスリムが使われていますね。丈夫で耐銹性があるからでしょう。

 

低グレードの電動自転車のホイールと比べると輝きが全然違うことが見てわかります。

鋭い輝きの方がステンレス製ですね。見分けるポイントの一つです。

 

 

閑話休題

 

クロモリのパイプメーカーはいくつかあります。

カイセイ、コロンバス、デダチャイ、タンゲ、レイノルズetc

 

その中でも今回関わりが深かったカイセとコロンバスについて勉強したことを私なりにまとめて見ました。(私の個人的な見解や曖昧な表現が含まれていますのであくまでも参考資料としての閲覧をよろしくお願いいたします。

 

 

カイセ

 

024.022.019.017.4130Rや8630.8630R.ULTIMA Rなどの種類があります。

 

024

024は厚手のパイプで強度が出しやすくツーリング車などに適しています。よくしなるのも特徴ですね。

 

022
022は024と比較するとパイプは薄手でその分024より軽量化されています。

 

019

019は022よりもさらに軽量化されています。

022.019は一般的なクロモリロードに使用されているイメージですかね。

8630.4130R.8630R.017になってくるとレース車などの高級車使われるイメージが強くなってきます。

ちなみに4130という数字はアメリカのSAE規格でのクロムモリブデンのことを指します。

そして4130Rというのはカイセイでのパイプの品番です。混同しないようにね。


8630シリーズクロムモリブデン鋼にニッケルが含まれています。。普通のクロモリより粘りがあってコシがあるので力をそのまま推進力として伝達してくれます。



他にもULTIMA Rシリーズというのがあり、ULTIMAは焼き入れ加工が施されていて強度が増していて、バネ感が増すと言われています。

バテットパターンと重量比較表はこちらになります。


017 
バテッドパターン:0.7-0.4-0.7  →1.845g

8630R 
バテッドパターン:0.7-0.5-0.7  →1.885g

4130R 
バテッドパターン:0.7-0.5-0.7  →1.915g

8630-019E 
バテッドパターン:0.8-0.5-0.4-0.7
→1.970g

8630-019 
バテッドパターン:0.8-0.5-0.8  →1.980g

019E 
バテッドパターン:0.8-0.5-0.4-0.7 →2.010g

019 
バテッドパターン:0.8-0.5-0.8 →2.020g

022E 
バテッドパターン:0.9-0.6-0.5-0.8 →2.205g

022 
バテッドパターン:0.9-0.6-0.9 →2.025g

024 
バテッドパターン:1.0-0.7-1.0 →2.360g

数字後に書いてあるEという文字はトリプルバテットを指していて、三段階に渡ってパイプが薄くなっています。



017は相当薄いですね

クロモリは強度があり丈夫だと断言できるのは024.022.019くらいなのではと思ってしまいます。

 

カイセイが石渡という名前だったころには015というパイプがあったそうです。

以前東叡の関係者とお話をした際、パイプが薄すぎてもう使いたくないとおっしゃっていました。

 


ちなみに4130Rはしなやかさが特徴8630Rは硬くて力をよく伝えてくれるという感じの特徴だそうです。

 

 

 

コロンバス

 

XCr
ステンレスなため硬く、その分重いです。
ステンレスなので溶接の際、融点の低い銀ろうのみ使用可能です。

 

CROMOR
022やTANGE No.2と同等のパイプで安いのが特徴です。

エントリーモデルなどに使われているパイプですね。

 

ZONA
丸形状パイプ、エアロパイプ、楕円、大径など
種類多様なのが特徴です。

 

HSS
大径、肉薄軽量、八角形パイプが特徴です
最近よく使われてきている??

 

MAX
断面が楕円でニバクロームが添加されてるのが特徴です。
剛性重視のやや太めのパイプですね。

 

SL
70年代くらいのフレームにはよく使われてた、オーソドックスなパイプです。
やや軽量かな?


LIFE
ニオビウムが添加されてるのが特徴です。
SLの次に軽い

 

SPIRIT
こちらもニオビウム添加です
ですがLIFEよりも極薄、高強度の最軽量パイプです。

 

SPIRIT FL
ニオビウム添加でラグ仕様でspiritより0.1mm厚いのが特徴です。

 

SPIRIT KEIRIN
ニオビウム添加で競輪仕様(一番薄い部分が0.5mm)が特徴です。

 

SLX NEW
SLXの復刻版パイプで、内部に五本のスプライン状の筋が入っていて軽量かつ高剛性、高耐久なのが特徴です。

 

 

 

クロモリの一言でここまで枝分かれしているとは驚きです。

クロモリと一括りにしてしまいたくない程にディープな世界がここにありました。少し掘り下げるだけでツーリング用やレース用に分かれ、パイプのバテッドや特性、素材によってさらに用途が分かれます。

ここまで細分化させたパイプメーカーに尊敬すらすれどもはや畏怖の念すら抱きますね。

 

クロモリは丈夫で!長年使えて!よくしなるのが特徴だろ?自転車乗ってるやつの中じゃ常識でしょ!

と意気込んでいた過去の私が恥ずかしいです。

 

自転車の奥深さが少しでも皆さんに伝わればと思います。

では。