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クロモリと神社と革と

某自転車専門学校卒業後、某自転車メーカー開発へ。クロモリや革、神社のこと話してます。

クロモリ ロードバイク 10のメリットを徹底分析。クロモリ好きが語る。

 

 

えんじです。

 

前回はクロモリ、マンガンモリブデン、ニッケルモリブデンについて説明しました。

 

クロモリ、ニッケルモリ、マンモリの違いとは?? クロモリロードフレームについてもう一歩知る。 - クロモリと神社と革と

 

 

今回はクロモリのメリット、デメリットについて徹底分析したいと思います。



 

 

 

 

 

 クロモリ10のメリット

 

 

 フレームがしなやか

 

 

クロモリはアルミやカーボンに比べてしなやかです。


ペダルを踏み込む際フレーム全体がグイッとしなります。

 

しなった後は金属が元に戻ろうとする力、反発力が働くため、しなりを動力として走ることができます。

 

このしなりが生き物のような走りを実現し、フレームと一体になって走っているように錯覚します。

 

 

 

 

 

 

  • 振動吸収性が良い

 


確かに、アルミなどに比べれば振動吸収性は良いです。

 

 

 

 

こちらをご覧ください。

 

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左から二つ目の項目、縦弾性係数が振動吸収性に直結しています。数値が高いほど振動吸収率は良くなります。(自転車探検!から抜粋。)

 

低炭素鋼と並んでクロムモリブデン鋼が一番になっていますね。 


ですがこれはあくまでも数値。


 "しなやかなフレームは乗り心地が良いとされているが、サドルおよびタイヤなどが乗り心地に与える影響に比べると、その影響は大変小さい。フオークまたはリムとスポークが乗り心地に与える影響よりもやや小さい。具体的には、 サドルを取り外し、立管に垂直荷重を加えて測った各部の縦方向変位データは次のようになっている。
合計変位を100%とすると、

フレーム2%、

ホイール(リムとスポーク)3%、

フォーク4%

そしてタイヤ91%である。 " (自転車探検!から抜粋。)

 

この記述を見るとフレーム自体の振動吸収性は走行面ではさほど影響がないことがわかります。

実験結果に基づく記述ですので信憑性は高いです。

 

詳しくはこちらをご覧ください。

jitetan.com

 

クロモリフレームで走っていて「振動吸収性が良い!」と体感する要因はタイヤ空気圧の調子やサドルのクッションの効果であって

"殆どフレームの成果ではない"ということです。

 

クランクに力を入れた際に発生するしなりの面白さはありますが、実際に振動吸収性を高めたいのならばサドルやバーテープをクッション性の高いものにするなり、グローブをするなりした方が効率的ですね。


「振動吸収性の良さ」をクロモリのメリットにあげるかどうかとても迷いましたが、数値的にはアルミより優っていたので記述しました。

結局振動吸収性はカーボンが一番です。

 

 

 

 

 

  • アルミやカーボンに比べて寿命が長い

 

 

カーボンフレームやアルミフレームは耐用年数が平均して15年ほどと言われています。

 

紫外線による経年劣化(カーボン)や金属疲労(アルミ)によって徐々に蝕まれていきます。

 

ですがクロモリは耐用年数が非常に長いです。

普通のクロモリロードバイクでしたら、サビに気をつけ丁寧な手入れを続ければ半世紀は乗り続けられると思います。


長い時間乗り続けられるということはその分自転車を丁寧に扱っている証拠なのかもしれません。。(ぞんざいに扱っても案外長持ちはします)

 

 

 

 

  • アルミやカーボンが壊れる衝撃にも耐え得る強度

 


クロモリといえば丈夫さが売りですよね。


落車をしてしまった際アルミやカーボンに比べてクロモリの方が破損し難いのは事実です

 

 

ではどの程度丈夫なのか。

もちろん下りなどで事故を起こせばクロモリフレームでも曲がることもラグの根元からバキっと折れることもあります。
ですがカーボンやアルミでは壊れていたであろう衝撃に、クロモリならば曲がるだけで破断せずに耐えてくれるかもしれません。


そうすれば新車購入ではなく修理で済み愛車を失わなずに済むかもしれません。そんなここぞという時に頼れる素材がクロモリなのです。

 

 

 

  • フレームの修理が可能

 

 

いくらクロモリでも落車やサビによって凹んだり曲がったり破断することはあります。


そういった際に、凹んだ部分を引っ張って元どおりにしたり、曲がったり折れたパイプを根元から引っこ抜いて新しいパイプにすげ替える事で修理が可能です。

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はじめて買った愛着のあるフレーム、長年寄り添ってきたクロモリフレーム破断してしまい、泣く泣く新しいフレームを購入...なんてことにならないわけです。

 

 

調べてみると、修理費用はトップチューブ、ダウンチューブの差し替えが¥30,000前後のところが多かったです。あくまで参考金額になります。


溶接時に塗装をはがさなければいけないので再塗装代で¥40,000と仮定すると、合計¥70,000で修理が可能となります。こちらもあくまでも参考数値です。

 

修理費+aで新車を購入できるじゃん!と考えるか、大事な愛車を失わずに済む!考えるかは個人の自由です。

 

因みに、フレームが破断する場所は溶接跡付近多いです。

 

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溶接部分は丈夫なのですが、溶接部分の周りが溶接時にパイプに加わった熱で脆くなって折れてしまうようです。

 

これを読むと「クロモリって折れるの...?」という気にならなくも無いですが、安心してください。余程のことがない限り折れません

 

事故が起きた際、真っ先に曲がるか折れるかする場所が溶接部分の周りという話です。

 

 

最近ではカーボンも修理可能な場合が増えてきました。カーボンドライジャパンさんやその他各社がカーボン修理を請け負ってくれますね。

 

 

 

 

  • フレームオーダーの際の自由度が高い

 

 

クロモリはオーダーメイドが可能です。

フレームビルダーさんのお店で実際にフレームに使用するパイプの種類、ラグの有無を選べたり、フレームの形状を自分の体型に合わせて自由に変更することができます。

 

ここがまたフレームオーダーの面白いところです。ラグの種類にもお洒落なコンチネンタルカットやスタンダードなイタリアンカットという種類があったり、オリジナルラグを作れるところもあったりします。

 

コンチネンタルカット

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イタリアンカット



 

 

パイプに関しましても、丹下、コロンバス、カイセイ、レイノルズと様々なパイプメーカーがあり、その中にも様々な特性を持つパイプが数多くあります。

 

極薄パイプで軽量化を図ったり肉厚パイプで剛性重視にしたりできます。


パイプ径を細くして細身の美しいフレームに仕上げたりエアロパイプを使って空気抵抗を少しでも減らしてみたりといったことも可能です。


ツーリング車にしたいからダボ穴を多くつけたい、極限まで軽量したいから小物を全て取り除いた電動コンポ専用のフレームにしたいなど、例を挙げればきりがありません。


オーダーフレームですので勿論塗装も自由自在です。
ラグをメッキにしてみたり、一色塗装で統一感を出したり、いろんな色を使ってカラフルなフレームにしてみたりと可能性が広がります。

 

この自由度がオーダーフレームの魅力です。


お値段は安いところで10万円から、高いところだとパーツ代込みで100万円を超えるなんてこともあります。

 

 

 

 

 

  • 細身パイプやラグが美しい

 

 

 

私、えんじはこの利点を一番に推したいです。

 

何故ならラグフレームが大好きだからです。

BB周りの様子




 

最近のカーボンは殆どがモノコックフレーム(フレームが殻のように一体構造になっているもの)になり、細いパイプのフレームを見なくなりました。

 

アルミで細身のフレームを作ると剛性が足りなくなりフレームとして成り立ちません。
結果として細身の美しさを出せるのはクロモリやチタンのフレームになります。

 

モノコックフレームのカーボンフレームは美しいというよりもかっこいいという言葉が合いますよね。

 

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カーボンフレームはクロモリに比べて太いフレーム、見た目に相反して軽い、このギャップが魅力の一つでもあると思います。

 

 

 

ならば、細身の美しい見た目に相反して重量感のあるフレームも魅力の一つではないでしょうか?

 


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ごついカーボンフレームがかっこいいなら細身のクロモリは美しい、そう言って差し支えはないと思います。

 

 

 

 

  • ビンテージの魅力を楽しめる

アルミ、カーボンフレームは耐用年数が15年ほどなのでビンテージと呼ばれるまで熟成されたものが少ないです。

 

長い年数を壊れることなく生き抜くことができるからこそ、ビンテージとして新たな付加価値を得て皆に愛されることができるのです。

 

 

 

ビンテージが好きな友人に話を聞きました。

 

 

"昔の自転車はパーツを集めて、その互換性の辻褄を合わせるためのフレームを作ってた。 だからフレームは最後に決めるパーツ。"

 

"フレンチ規格はだるい…。28.6mmはフレンチ規格では端数を切られて28mmのパイプになってることがある。

だから、例えばユーレー、ジュビリーのフロントディレイラーでは28mmのバンド28.6mmのバンドのものがある。


(ボルトの長さ、ワッシャーの幅が変わる、これはサイズを見分けるだけのもの。)

 

ビンテージ風は現行品パーツに互換性がある。

 

ビンテージは廃盤のもの。パーツの互換性がないものが多いから、フレームを1から作らなきゃだめだったりする。


そうなると、ビンテージパーツが好きだからそれを使うためにクロモリに乗る。それが似合うからクロモリを使う。

 

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面倒なところを含めてビンテージ自転車の味であり魅力なのでしょう。

 

昔から自転車屋を営んでいる店主から聞いた話では、

昔のユーレーやサンツアーなどのパーツは、今の時代でいうシマノSORAやTIAGRAがただ歴史の流れに置いていかれ、その時代にとり残されただけのものという認識らしく、古いパーツにそこまでの価値を見出していませんでした。

これもジェネレーションギャップなのかもしれません。

 

 

今私たちが当たり前のように目の当たりにしている105やアルテグラデュラエースもあと50年ほど経てばビンテージの部類に入るのでしょうか。もしそうなら時代が来るのなら楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 速度の概念に囚われずに新しい走りを見つけられる

 

初めてロードバイクを買う人でクロモリのフレームを買う人はレースに出る目的で買う、というよりサイクリングやポタリングを楽しみたい!という理由での購入の方が多いのではないでしょうか。

 

私、えんじも初めはアルミの軽量フレームに乗っていましたが、速度よりも大事と思えるものを見つけたのでクロモリに乗り換えたというのがあります。

 

自転車から見える景色や田舎ののんびりとした空気感、軽やかな鳥の鳴き声、ひんやりした地面に晴れ渡る空。

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ただひたすらタイムを縮めるために走る、横にいるやつに負けたくないから走る、これも走るには十分すぎる理由ですしとても崇高です。

 

ただ、競争心からかけ離れた違う魅了がある。

少し視点を変えるだけで見えてくるもの、感じるものが一転する感覚を味あわせてくれるのが

クロモリ、鉄の自転車なのかもしれません。

 

巡航速度が何kmだとか1日の走行距離が何キロオーバーだとか摂取カロリーがいくらだとか空気抵抗がどうとか、気難しいことなんて忘れて馬鹿みたいになにも考えずに走るのも楽しいぜということです。

 

 

 

 

 

  • アルミと比較して同等、もしくは安い値段帯(オーダーやビンテージを除く)

 

エントリーモデルですと、クロモリは比較的安価に購入することができます。

 価格帯は¥150,000前後のものが比較的多い印象です。

¥100,000を切るものも数多くあります。

 

特にラグを使わないラグレスのフレームはクロモリの中でも安いものが多い印象があります。(トップグレードクロモリパイプと高級コンポーネントが使われているものはラグだろうとラグレスだろうと高いです。)

 

 

 

エントリーモデルのラグフレームはラグレスよりも高価なものが多くなりますがカーボンロードバイクと比べて安価での購入が可能です。

 

 

 

 

 

 

 

以上がクロモリ自転車のメリットとなります。

 

 

 

 

筆者は主にクロモリロードやモダンクラシックな自転車についてよく話します。

 

クロモリロードに似合うブレーキレバーは何か、似合うクランクは何かなどクロモリについて筆者なりに研究しているので、よろしければそちらの記事も是非ご覧ください。

 

 

 

 

デメリットについての記事はこちらから。

 

bicycle-efficiency.hatenablog.com

 

 

クロモリロードに似合うシルバークランクのオススメはこちらです。

 

安いものから超高額なものまで、聞きなれないメーカーもございますので是非ご覧ください。

 

bicycle-efficiency.hatenablog.com

 

 

 

 

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